2024.06.09 (sun)
ずっとセブ留学日記を書いてきているけれど、そろそろオンタイムの話題も書きたいところ。
箸休め的にそんな話題も混ぜていこうと思う。
帰国してから久々に映画館へ足を運んだ。
坂本龍一の最初で最後のコンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』を観るために。
Ryuichi Sakamoto | Opus
どんな映画かは公式サイトを観てね(雑)。
予告編はこちら。
特別コメント映像
感想
目を閉じて聴覚に集中し音楽に没頭したい気持ちと、命を注ぎ込むような鬼気迫る演奏と息づかい、時折垣間見られる嬉しそうに音楽と戯れる姿を目に焼き付けたい気持ちが葛藤した映画だった。
息づかいを聴きながら、グレン・グールド(Glenn Gould)のゴールドベルク変奏曲(Goldberg Variations : Johann Sebastian Bach)を思い出した。
演奏しながら本人の鼻歌も一緒に収録されてしまっている、あの例の録音だ。
グレン・グールドのバッハはもちろん素晴らしいのだけど、鼻歌がめちゃくちゃ気になってしまうのだ。
聴いているうちに演奏よりも鼻歌を聴いているんじゃないかって感覚になるくらいだ。
久しく聴いていないので忘れてしまったが、1955年の録音盤と1981年の録音盤のうち、全盛期の1955年盤の方が鼻歌が顕著に聞こえていたんじゃなかったかな。
演奏自体も1955年盤の方が素晴らしかったと思うが、なんせ鼻歌が気になり過ぎるという曰くのアルバムだ。
1981年盤の方が割と最近ということもあって録音の音質自体はこちらの方がよかったような記憶がある。
また改めて聴いてみよう。
なんてことを考えていたら、監督のインタビュー記事にやはりグレン・グールドの件に触れていた。
因みに私は特段、坂本龍一のファンというワケではない。
すごい人だっていうのは何となく知っているけれど、どうすごいのかよく分からない。
それを知りたくて、関連の作品を追っている最中で段々と分かってきたというところ。
音楽はど素人のニワカだし、「Ryuici Sakamoto」という有名人バイアスが少なからずかかっていると思うけれども。
ニワカであるので、全盛期の演奏を知らないのだが、年齢からすると技術的な面では全盛期には劣るのかもしれない。
けれども、こんなにも心に響き記憶に刻まれるような体験ができるなんて信じられない、というような演奏で本当に素晴らしかった。
それは『死』というものと対峙しているからこそ生み出せるものなのか、老熟されたからこそであるのかは計り知れないけれども。
氏がこだわったという音響も手伝ってはいるかと思う。
演奏もさることながら、カメラワークや演出も素晴らしくて、目を閉じて聴覚に集中したいという気持ちと葛藤する原因でもあった。
特にラストシーンの演出は、氏のメッセージなのか自身の亡き後のイメージを具現化したものなのか...とにかく胸に迫るものがあった。
パンフレットがあったら良かったのだけど、パンフレットの制作はしていないようで残念。
入場時に配られるカードが作品リストにもなっていてパンフレットの代わり...というよりはプログラムということかな。
一音一音をまるで慈しむかのように紡ぎ出される様をみることが出来て本当に良かった。
坂本龍一監修シアター『109シネマズプレミアム新宿』で坂本龍一の映画を観る
やはり音響システムを坂本龍一氏が監修した映画館で観るのがいいでしょってことで、『async』を観に行ったときと同様に109シネマズプレミアム新宿で観た。
S席が6,000円(一般)、A席が4,000円(一般)とお高いのだが、上映一時間前からラウンジを使用することができ、ソフトドリンクとポップコーンが飲み放題・食べ放題なのだ。
ポップコーンはMサイズとLサイズから選べるようになっていた。
この日は期間限定でチョコレートトッピング(上の写真のハート型の焼きチョコ的なやつ)ができるようになっていたのでもちろん付けてもらった。
上映が始まるまでの間、読みかけの本を読もうと思っていたのに忘れたのが痛恨の極み。
この日は4,000円のA席を取っていたので、上映後はラウンジを使用することはできないけど、6,000円のS席だと上映後に特別ラウンジを使用することができるので、余韻にゆっくり浸りたい人はS席がいいだろう(席もちょっと上等になる)。
開場の案内が始まったらトイレを済ませ、もう一度ドリンクとポップコーンを注文してシアター内へ。
キャラメル味はカリカリしていて咀嚼音がうるさそうと思って塩味のみにした。
予想はしてたけど、結局ほとんど食べられなかった。
あ、ストローはデフォルト紙ストローだけど、いえばプラスチックストローにしてもらえます。
日に何度か上映されていたが、音響システムが「Dolby Atmos」であるシアター3の回を選んだ。
シートの座り心地もいいし(フットレストもあればもっと最高だが。残念ながらS席もフットレストはない)、音響が素晴らしいので本当に目を閉じて音楽に浸りたい気持ちになった。
「戦場のメリークリスマス」で余韻に浸る
夜はその余韻に浸るため、アマプラで実は観たことがなかった「戦場のメリークリスマス」を観た。
こうして死してもなお、作品とともに人の記憶と歴史に残る偉人たち。
Ryuichi Sakamoto | Premium Collection
109シネマズプレミアム新宿で『Ryuichi Sakamoto | Opus』公開に合わせて、氏の関連作品の上映スケジュールも公開されていた。
自分の備忘録のためにメモ。
・PERFORMANCE IN NEW YORK: async
- Ryuichi Sakamoto : async Live at the Park Avenue Armory
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
▶予告編
・怒り - Rage
監督:李相日
▶予告編
・ラストエンペラー - The Last Emperor
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
▶予告編
・戦場のメリークリスマス - Merry Christmas, Mr. Lawrence
監督:大島渚
▶予告編
・Ryuichi Sakamoto: CODA
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
▶予告編
・ヤンヤン 夏の想い出 - YiYi: A One and a Two
監督:エドワード・ヤン
・ノスタルジア 4K修復版 - Nostalgia
監督:アンドレイ・タルコフスキー
▶予告編
・Trio Tour 2012 Japan
・Playing the Orchestra 2014
・GLENN GOULD GATHERING
羨ましく思う気持ちもあれども、あれこれ根堀り葉堀りされるのも常であるので、誰の記憶にも残らず消え去りたいと思う凡人によるレビューでしたー